離島と都会を行き来する診療看護師のブログ

primary care NPとして離島での道を開拓する

カルシウム拮抗薬の分類 L型T型N型

 

カルシウム拮抗薬 (calcium channel blocker, CCB)

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CaチャネルにはL型・T型・N型という3タイプ。

 

【型】主に心筋・血管平滑筋に存在

L=血圧

【T型】主に腎臓の糸球体にある輸入・輸出細動脈

T=糸球体内圧

【N型】主に神経終末に存在

N=交感神経

 

一般的に降圧薬として使われるCCBはL型チャネルに作用

L型代表 アムロジピン選手!ニフェジピン選手!

 

この2つは、L型のみに作用して血管が拡張

アムロジピン選手とニフェジピン選手の比較

アムロジピン10mg(最大量)=ニフェジピン(40mg)

ニフェジピン(アダラート)は最大80mgまで増量できるので、ニフェジピン選手の方が強力!

 

作用時間の短いCCBを使うと、急激な血圧低下に対する反射で交感神経の興奮を引き起こし、心筋梗塞のリスクが高まることが報告されている。

新人の頃は、救急カートに『アダラートカプセル剤』が入っていた。

緊急降圧が必要な際に舌下投与する目的だったようだが、急激な血圧低下とそれに伴う臓器障害のリスクが高く、現在は禁忌

《時代は変わった》

これを受けて、アダラートの親、ドイツのバイエル社は開発を繰り返し『アダラート』を進化させることに成功!

吸収が穏やかで作用時間の長い【CR錠】となって生き残りを遂げました。

※CR は「control released(放出制御)」24時間持続タイプ

※頓用使用の際は、アダラートL

Lは「Long Acting」CRより短い12時間タイプ

 

アムロジピン選手の方は、血中半減期が36時間と他のCCBより圧倒的に長い特徴と口腔内崩壊錠(OD錠)が主流というメリットがある。

そのため、急激に下がることもなければ、薬を飲み忘れたからと言って急激に上がることもなく、24時間安定した降圧が得られることは、昔のニフェジピン選手で起こった有害事象は起こりにくいことが助かるし、OD錠なら嚥下機能が低下した超高齢者でも安心して服薬できるところがうれしい。

 

しかし、降圧以外にも色々オプションが付いてるCCB

それがT型とN型

【L型+T型代表】 カルブロック選手(一般名:アゼルニジピン)

【L型+N型代表】 アテレック選手(一般名:シルニジピン)

 

T型チャネルは、主に腎臓の糸球体(輸入・輸出細動脈)に存在しているため、アゼルニジピン選手は、これらの細動脈を広げる▶糸球体内圧を下げる→腎臓に優しい(腎保護効果)がある。

ニフェジピン選手と比べても、蛋白尿やアルブミン尿を改善する効果が高く、CKDや糖尿病性腎症を合併した高血圧患者に向いている。

N型と機序は異なるが心拍数低下作用や腎臓からのナトリウム排泄作用があるとの報告もあり、外食の多いタクシー運転手や長距離ドライバーさんなどに向いているかも。

ただ、降圧力弱め+作用発現緩徐でスパッと切れ味は良くない印象

そのため、軽症高血圧の初期治療やあと一歩降圧が欲しい時、高齢者の高血圧などに使われることが多い。

 

N型チャネルは、主に神経終末に存在し、神経伝達物質ノルアドレナリン)の放出を抑える作用があるため、シルニジピン選手は交感神経の影響を少なく抑えることができる。

ニフェジピン選手と比べても、頻脈の副作用が少なく、早朝高血圧や夜間の急激な血圧低下など、自律神経のバランスが崩れて起こる血圧の異常に効果的

また、腎糸球体の輸入・輸出細動脈は、「N型Caチャネル」を介した交感神経の刺激にも影響するため、【L型+T型代表】のみでなく、【L型+N型代表】のシルニジピン選手でも、細動脈を広げて糸球体内圧を下げ、腎保護効果を発揮できるマルチプレイヤー

 

これだけではなかった!

なんと最強助っ人現る

【L型+T型+N型代表】 ベニジピン選手!

ベニジピン選手は、全てのCaチャネルに作用

そのため、【L型代表】ニフェジピン選手よりも、【L型+T型代表】アゼルニジピン選手や【L型+N型代表】シルニジピン選手と同様、腎臓に優しい。

ただし、日本・中国・韓国やフィリピンなど6ヵ国でしか使われていない薬で使用実績が少なくどれくらい優れているかどうかはまだ明確になっていないとのこと。

 

最後に、CCBとグレープフルーツジュースの関係

グレープフルーツジュースを飲むと、薬の効き目が約2倍程度に強まり、めまい・ふらつき等の低血圧症状を起こすことがあるので、どうしても飲みたい人は相互作用の少ない『アムロジン』や『ノルバスク』に変更してもらうといいそう

 

まとめ

アダラート:Ca拮抗薬(L型)高血圧症(本態性・腎性)、狭心症

カルブロック:Ca拮抗薬(L型/T型)高血圧症

アテレック:Ca拮抗薬(L型/N型)高血圧症

 

アダラートCR錠:1回20~40mgを1日1回、最大1回40mgを1日2回

カルブロック:1回8~16mgを1日1回

アテレック:1回5~20mgを1日1回

 

L型のみのCCBは、腎臓のことはあまり考えてはくれないが、スパッと効いて数時間後からは血圧も下がってくれる患者さんも医療者も満足度が高い薬

N型やT型は、いろんな所に(腎臓や交感神経)気を遣ってくれるかわりに、そこまで血圧は下がらない

こんな印象。

 

アダラートには、合剤はいまのところないが、

カルブロック:レザルタス配合錠(アゼルニジピン + オルメサルタン)

アテレック:アテディオ配合錠(シルニジピン + バルサルタン)

にはあります。 

 

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