超メジャーな血液検査である、【AST】と【ALT】
上昇していたら肝機能が傷害されているなぁと考えることはもはや常識。
ただ、この2つの違いを説明できるだろうか?
AST と ALT の大きな違い
これをはっきりさせておくと思考の幅が広がる。
AST、ALT、合わせて『トランスアミナーゼ(transaminase)』という。
直訳すると、アミノ基転移酵素。
アミノ基転移酵素は、人体の重要な構成要素であるアミノ酸を作る働きをしている。
肝細胞障害時に血液検査で上昇する理由は、このトランスアミナーゼが肝細胞に多く存在しているから。
そのため、肝機能検査と呼ばれ、肝臓のイメージが強く根付いている。
ただし、厳密に言うと、肝細胞の傷害の有無を推定する検査。
もっというと、肝臓以外にもこれら酵素は存在する。
AST(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ):基準値 11~33 U/L
=GOT。
ASTは肝細胞内の他、筋細胞内や赤血球内にも存在している。
AST上昇を みたら肝疾患のみでなく、心筋梗塞や筋疾患、溶血性疾患を鑑別する。
心筋>肝臓>骨格筋>腎臓の順に多く含まれる
ALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ):基準値 6~43 U/L
=GPT。
肝細胞障害に対する特異性はASTよりも高く、肝細胞中ではASTの方がALTよりも多く存在するため、通常はAST>ALTで、ASTとALTが共に正常範囲内となる。
よって、ASTとALT が正常であっても、AST<ALTの場合では、慢性肝炎や脂肪肝の可能性を考える必要がある。
肝臓>>心筋>骨格筋の順に多く含まれている
また、ASTとALTの半減期の違いから、急性疾患か慢性疾患かの鑑別も可能で、
AST=約 5~20 時間
ALT=約 40~50 時間 これを利用する
肝炎で来院した際に、
AST優位→急性期 ALT優位→慢性期
と推定できる。
☆注意☆
肝由来疾患のうち、アルコール性肝障害は、AST優位となる!
まとめ
AST、ALT上昇を確認したとき、
AST>ALT 肝以外の疾患の可能性 心不全等
酒飲みチェック
AST<ALT 肝疾患の可能性 肝生検有効かも
肝臓を見るには、ALTに重点を☆