離島診療にはかかせないドクターヘリ
太陽が出ている間はドクターヘリ・夜間は自衛隊ヘリで、島民の命をつないでいる。
ドクターヘリ出動基準例
ドクターヘリは,以下のいずれかの項目に該当する場合に出動することとし,「消防庁救急ヘリコプターの出動ガイドライン」に基づき作成した症例等に準拠して判断する。
- 生命の危険が切迫しているか,その可能性が疑われ,緊急処置をしなければ, 生命に危険が生じる場合
- 生命に危険はないが,緊急処置をしなければ,身体に障害を生じる恐れがあるなど社会復帰に大きな影響がある場合
- 現場で緊急診断に医師を必要とする場合
- 上記の3項目に該当しない場合であっても,状態が悪く不安定な急性患者であって,高度の医療を必要とするための適切な搬送医療機関が二次医療圏域内に存在せず,車による搬送では危険と考えられるなどの場合で,ドクターヘリにより所定の搬送先病院(救命救急センター及び災害拠点病院等)へ短時間で搬送することが必要と判断される場合
ただ、距離が距離なだけに、迅速な要請とフライト、搬送先の決定が必要となる。
これがまた大変。。。
救急要請→救急隊現地到着→状態把握→近隣病院受け入れ調整→近隣病院搬送→島外搬送と判断→ドクターヘリ要請→ドクターヘリ到着→ドクターヘリ離陸→高次医療施設搬送・・・
だいたいはこんな流れだが、ドクターヘリ要請から到着まで最短でも1時間以上。
フライト時間は20分程度なのに。。
そのため、もっと迅速にドクターヘリを運用し、救える命を救うために決められたのが、『キーワード』。
概要としては、キーワードにあたる状態の救急搬送症例は、搬送先の医師がドクターヘリ搬送を決定する前に、救急隊が直接ドクターヘリに搬送を依頼するというもの。
段階としては、
覚知内容からドクターヘリを要請した方が良いと消防職員が判断する場合(救急隊出動途中を含む)
救急要請→救急隊現地到着
→同時にドクターヘリ要請!
救急隊現着時,ドクターヘリを要請した方が良いと救急救命士あるいは救急隊員が判断する場合
救急要請→救急隊現地到着→状態把握→近隣病院受け入れ調整
→同時にドクターヘリ要請!
キーワードの例・・
●外傷
自動車事故:閉じ込められている 車体が大きく変形している,歩行者がはねとばされた等々
オートバイ事故:法定速度以上(かなりのスピード)で衝突した バイクと車両の衝突 等々
転落・墜落:2階以上の高さ,又は下がコンクリート等 等々
窒息事故:溺れている 窒息している 生き埋めになっている
各種事故:バス,航空機,船舶,爆発,落雷
傷害事件:撃たれた 刺された 殴られて意識が悪い
ハブ咬傷:ハブに咬まれた ハブに咬まれた疑い
全身熱傷,四肢切断
●心・大血管疾患(呼吸不全を含む) 40歳以上の胸痛または背部痛(胸背部に関する痛み全て)呼吸困難 等々
●脳血管疾患 人が倒れている 人が突然倒れた,突然の激しい頭痛 痙攣している等々
●その他(心呼吸停止等を含む) 呼吸をしていない 呼吸が変だ 様子がおかしい 等々
こんな感じ。
これらに該当すれば、近隣の医療機関で検査や処置にあたっている間に、高次医療機関からドクターヘリが到着し、救急医やER Nsが応援に駆けつけてくれる。
そして更に、初療対応の結果ドクターヘリ搬送とならなくても、怒られない!(笑)
(オーバートリアージの容認)
ドクターヘリの運航には多額の税金がかかると言われているが、その入り口を締めれば締めるほどトリアージの敷居が高くなり、判断が遅れ、救命率が低下しそう。逆に、緩めれば緩めるほど、バンバンドクターヘリが飛び回り、無駄遣いと言われそう。
そのバランスも重要だが、人の命には代えられない。。
タダフライトになってもいいと言ってくれるから要請しやすいし、エキスパートな人材が応援してくれることで搬送に至らない症例もあることを忘れてはならない。
COVID19の影響はこうしたドクターヘリ運用にも影響を及ぼし、流行期には感染が疑わしい患者は乗せることができなかった。
このような離島の命をまもるためにも、COVID19の流行は早く収束させなければならない。