肝不全の症例を経験し、知らない薬を調べたのでまとめておく。。
ラグノスNF ○ リフキシマ ○ ロケルマ について
ラ行ばっかり・・
まずは、ラグノスNF
ラグノスNF経口ゼリー分包12g|医薬品一覧|医薬品|三和化学研究所
約30年間、便秘薬の世界は沈黙を続けていた・・・
その沈黙を破ったアミティーザ®に始め、リンゼス®、グーフィス®、モビコール®配合内用剤、ラグノス®NF経口ゼリーと続々と慢性便秘症の薬が保険適用となった
従来の酸化マグネシウム等で効果が得られない人に対する治療の選択肢が増えたことはありがたい
そもそも、4週間以上続く便秘症のことを「慢性便秘症」というらしい
このラグノスNF、
ラクツロースのゼリータイプ
作用機序
ラクツロースはガラクトースとフルクトース各1分子よりなる人工2糖類で、ヒト消化管粘膜にはラクツロースを分解する酵素がなく、ラクツロースを経口投与すると大部分が吸収されることなくそのまま下部消化管に到達し、ラクツロース未変化体の浸透圧作用により腸管内に水と電解質が保持されることにより、緩下作用を発揮する。
浸透圧下剤の種類でまさしく酸化マグネシウムの代用
浸透圧をあげるのに従来使われていたマグネシウムは、高マグネシウム血症の心配があるから代わりにラクツロースを使おうという考え方?
また、下部消化管に達したラクツロース未変化体は、腸内細菌による分解をうけて有機酸(乳酸、酢酸等)を生成し、腸管内あるいは糞便中のpHを低下させる→→乳酸や酪酸などの低分子有機酸は浸透圧を高め、腸内への水の移動・・
作用機序をまとめると、
○ラクツロース未変化体の消化管下部への到着後の浸透圧性の緩下作用
○その後のラクツロースの分解後の有機酸による腸管蠕動運動の亢進
ラクツロースのゼリータイプには、ラグノスとラグノスNFがあり、NFは【New Formula】 =進化版
何が変わったかというと、より純度の高い結晶ラクツロースが使用されており、主成分のラクツロース含有量6.5g/包は維持したまま、内容量が16.5g→12gへ軽減され内服しやすくなった(エパデールからエパデールS(←このSはSmall、Smooth、Seamless capsuleのS)への進化みたいな感じ?)
あとは、開封口が改良され開けやすく飲みやすくなったみたい
いつもお世話になっている今日の治療薬2021先生によると、ラグノスには慢性便秘症の適応がないため、便秘に使用したいときは、NFの方になる
いつもは肝硬変の高アンモニア血症に・・と思っていたけど、これからは便秘に・・ともなると、使用頻度は上がりそう
ゼリー好きな俺としては、ゼリータイプのクスリはありがたい
甘みがあるらしく食べやすそう
いつもの薬に錠剤が1錠2錠追加されて飲まされるよりも、ゼリータイプだと薬を飲む感覚の変化があって苦痛も軽減しそう
嚥下の悪いパーキンソン患者なんかにも一石二鳥でいいのかも
ラグノスNF経口ゼリー分包12g(1包)は、ラクツロースシロップ65%製剤では10mLに相当
慢性便秘症に対する用量は、1回2包/2回 最高6包と
効き過ぎる場合は、半分だけ食べてあとは破棄でも良いみたい
相互作用としては、αGIとの消化管副作用増強に注意
ガラクトース血症には禁忌
副作用は、下痢や腹痛
ラグノスとはギリシャ語で『快楽』と言う意味らしい。。
IFにも記載の無かった名称の由来が気になるところ・・笑
おまけ・・・他の新便秘薬シリーズ
2012年に発売となった慢性便秘の内服薬
小腸内のクロライド(ClC-2)チャネル【クロールイオンの通り道】を活性化することで腸内の水分を増やす
妊婦は使用不可
1日1-2回食事の後に内服するカプセル
リンゼス®(一般名:リナクロチド)
2018年より慢性便秘症適応
腸粘膜にあるグアニル酸シクラーゼC受容体を刺激する
作用機序は
○腸液を分泌促進して便秘を改善する効果
○腹痛や腹部違和感を改善
IBSのガイドラインでも推奨され、おなかの張りを改善するには良く効く
1日1回食前内服する錠剤
グーフィス®(一般名:エロビキシバット)
2018年に発売の新薬
回腸末端の胆汁酸トランスポーターを阻害して、大腸の水分量を増やす効果と大腸の運動促進効果
1日1回食前内服する錠剤
モビコール® 配合内用剤(一般名:マクロゴール4000など配合剤)
日本では2018年に慢性便秘症の人に保険適用
マクロゴール4000は水を引きつける効果がありますが、大きな分子なので消化管では吸収されない原理によって便の水分を増やして便秘改善
2歳以上から使用可能
1日1-3回水に溶かして内服
どれも重度の下痢に注意してください