血液浄化からも難治性潰瘍にアプローチ
いくら局所に最良のケアを施しても、そこに血流が来なければ意味が無い
そう、循環あっての創傷治癒
もし血流に問題があるなら、そこを治せば傷は治る
だから、創傷ケアに循環器内科や腎臓内科もコラボする
★LDL及びフィブリノーゲンの吸着による血液レオロジーの改善により、閉塞性動脈硬化症患者の末梢血液循環の改善を導き難治性潰瘍を治療する!
カガクでネガイをカナエル会社
【原理】
セルロースビーズに固定化されたデキストラン硫酸が低密度リポ蛋白コレステロールを、Lトリプトファンがフィブリノーゲンを吸着するため、患者の血液をレオカーナに直接還流させると血液中の低密度リポ蛋白コレステロール及びフィブリノーゲンを選択的に除去することができる
LDL-CとFibを低下させることができる
LDLアフェレシスの進化版!
【適応】診療報酬から
準用技術料 K000 創傷処理2の所定点数を準用 1,680 点
医科点数表 K000 創傷処理
7)(略)当該療法の実施回数は、原則として一連につき3月間に限って24回を限度として 算定する 。
ア)フォンテイン分類Ⅳ度の症状を呈する者
イ)膝下動脈以下の閉塞又は広範な閉塞部位を有する等外科的治療又は血管内治療が困難で、かつ従来の薬物療法では十分な効果を得られない者
Fontaine分類とは・・・
難治性潰瘍があるのだから、既にⅣは決まっているようなもの
使い方はこうだ。
いわゆる血液透析と同じで、通常の透析回路のダイアライザーをレオカーナにするだけ。
PMXと似ている。
特徴は以下参照
- ヘパリン加生食(1000mlあたり2000単位のヘパリンを加えたもの)をプライミング液とする。
- プライミング液を150ml/分程度の流速で1000ml以上流すことにより、回路内及びレオカーナ内を洗浄、プライミングする。その際、流路から気泡を除く。
体外循環
- 穿刺は原則両腕穿刺
- シャントを有する患者の場合には、血液回路より返血された血液が直ちに血液回路に再循環することを防止するため、脱血と返血の穿刺部位はできる限り距離を空ける
- 体外循環開始時に投与する抗凝固剤は、原則としてヘパリンをボーラス又は回路へのワンショットで3000単位を投与することを標準とする
- 血液流量:Qbは段階的上昇させ、最大流量は200ml/分とする
- 抗凝固剤として、原則時間当り500~1500単位のヘパリンを持続的に血液回路に注入することを標準とする
返血・終了
- 脱血回路を患者より外し、生食を50~100ml/分で300~400ml(回路の容積に応じて調整)流すことで返血する。
【使用上の注意】
- 入口圧と出口圧の差が150mmHg以内で使用する
150mmHgを超えた場合は治療を中止し、回収する
▶レオカーナ内で血液凝固等が起こったと考えられる - 1クール24回をしても改善が全く見られない場合には、次の治療を検討
- 連日使用する場合は、適宜Fib値を確認
患者要因
- 頭蓋内出血、出血性眼疾患、消化管出血等、現に出血している、又は何らかの出血傾向が疑われる患者
- 重篤な心疾患、脳血管障害症の患者(体外循環療法が困難)
- 重症の管理困難な高血圧又は低血圧等の患者
- 体重の軽い患者、特に40kg未満の患者(使用経験が無く低血圧のおそれ)
- アレルギー性疾患を有する患者、その恐れのある患者
- 重症な貧血患者
- 低フィブリノーゲン血症の患者(血液凝固系に影響のおそれ)
【禁忌】
- ACE阻害薬
血漿が、陰性に荷電したデキストラン硫酸セルロースと接触することによる刺激で、血管拡張作用をもつブラジキニン(BK)が産生される。
BKは通常キニナーゼⅡ酵素によって分解不活性化されるが、ACE-iを服用するとキニナーゼⅡの作用が抑制された結果、BKの血中濃度が上昇し、異常な血管拡張作用つまり血圧低下を引き起こし、ショック症状が発現する
末梢血管不全の患者て大概大血管障害も合併していて、ACEi飲んでる人結構いる。。ARBも含まれたら更に多くなるけど、ARBはRASカスケードだけの話(AT1受容体をブロック)でBKには関与しておらず、BKを上昇させない(=咳嗽の副作用も無い)から大丈夫。
【併用注意】
その他の降圧薬ももれなく血圧低下が危惧されるため注意。
▶レオカーナによるBK等による一時的な血管拡張作用が降圧薬による血圧低下を助長するおそれ
血サラサラ系も同様に。。
【その他の注意】
骨もしくは腱の露出を伴う潰瘍・治療対象とする潰瘍に関連する血行再建術が半年以内に複数回実施されている患者には、慎重適用
▶有効性及び安全性は確認されていない
【臨床成績】国内の臨床試験
- 対象肢にある最大面積の潰瘍・壊疽
- 中足骨に骨髄炎が及んでいる又はリスフラン関節を超えて中枢に拡がっている外用・壊疽は除外
上記条件で61症例
1クール24回まで治療した結果、初回治療後24週間以内の治癒28症例(45.9%)、紹介治療後48週間以内の治癒32症例(52.5%)
【学会報告】
- ガイドワイヤーが通過せずカテーテル治療ができなかった症例にレオカーナとフットケアを開始したところ、6回施行した段階で傷の治癒傾向を認め、8回で治癒
- 移植静脈の完全閉塞にて中足骨切断(TMA)後創離解した症例にレオカーナを使用し、24回以内に創閉鎖した。
【診療報酬】
原則として一連につき3月間に限って24回を限度として診療報酬の算定が可能
3月間=12週 24回→2回/週
保険償還価格:91600円
技術料:1680点
まとめ
ASO、CLI患者(non ACE阻害薬)において、3ヶ月間に週2回レオカーナを用いた血液浄化を行うと、LDL-c,Fibが低下し難治性潰瘍が治癒する効果が期待できる。
潰瘍を有する重症化した閉塞性動脈硬化症(Arteriosclerosis Obliterans 以下、ASO)、いわゆる重症下肢虚血(Critical Limb Ischemia: CLI)に対してはバイパス術や血管内治療などによる血行再建術が治療の選択肢となるが、回復せず潰瘍が難治性となった場合は、既存の治療方法では十分な効果が得られず切り落とすしか選択肢はなかった。
下肢の切断につながるような重度の潰瘍の治癒率を評価した治験において、治療開始から24週以内に45.9%の患者の潰瘍が治癒したということで、これまでの半数程度の患者の足が救えるかもしれない。
感想
医療の進歩ってすごい。
幹細胞からなんでも作れるバイオの世界もすごいけど、選択的に吸着するビーズもすばらしい。LDL以外にも不要物質を選択的に吸着していけたらもっと多くの患者が救われるに違いない。。