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◆問題点②非常勤医の欠点
問題点①はこちら
いくら優れた非常勤医が応援に定期的にやってくるとはいえ、あくまで非常勤
非常勤医の特徴として・・・空白の期間(応援外の時間)があるということ
毎週○曜日に応援、毎月第2○曜日に応援などなど、、
非常勤医で成り立つ離島病院の現状を見て初めて気づかされたことがある
それは、
離島の医療を支えているのは、優れた非常勤医ではなく常勤の看護師であるということ
(もちろんTherapist、薬剤師等他職種も含めて)
応援に来ている間は、とても心強い味方だが、いったん帰ってしまうとその間の病棟管理は他科の常勤医か研修医が対応をするのだが、術後感染やドレーン管理等々問題は山積。
「手術はしてくれるが、その後どうするの?」
これが、離島では大問題。だからこそ、術前から島外搬送する症例も多い。
感染すれば、次回応援の数週間後まで抗菌薬ドーン!(LZD他2剤がっつり)
かといって、研修医等に不在の間の指示を出すこともない
勝手に術後創処置をすれば怒られる
輸血をしないといけないこともしばしば
応援医の性格などそんなこんなを全て把握し、いよいよのEMERGENCYを判断しているのは、一番近くで患者をみて、症状から心のケアまでしているのは看護師だ。
常勤医では人数も少なく専門外で、到底すべての患者を把握できないし、研修医はあくまで研修中。自分のことで手一杯だし、入院患者が減ったって応援病院の経営のために一肌脱いだろうとも思わない。
そもそも、研修医が主治医をさせられ、1人で判断する状況が間違っていないか。
助言を求めるのは、1個か2個上の後期研修医だが、もちろん専門外のことは精通していない中、どうにかやらざるを得ない。(これでいいの?)
初期研修医の応援終了後の挨拶では、もれなく「1人でやらせてもらってとても勉強になりました^^」だが、ハタから見れば、これまでの研修が身についているか島の患者がお試し実験台となり、なんとなくできそうだから1人でCV突いてみたり、縫ってみたり、抗生剤を処方してみたり、、、うまくいけば良かったし、うまくいかなかったらまだまだだと思って切り替える。
これは、なんかあったらどうしようと考えれない研修医にも非があるだろうが、大してサポートできる状態ではないのに、研修医を受け入れざるを得ない病院に非があるといっても過言ではない。
本来(本島)であれば、術後も主治医(執刀医)が管理し、細かく処置や処方をし、最善の医療を受けて最短の入院日数で退院できる状態だろう。
離島の住民は、そもそも、本島から頭のいい器用な人がわざわざ来て手術をしてくれる だけで感謝している。
その後どんなに治療が転んだって、きっと何日後に来る先生がどうにかしてくれると期待し、適切な治療介入の時期が遅れたことを知らずにひたむきに待ち望んでいる。
最悪亡くなってしまっても、大半の家族が「こんなによくしてくれたんだから仕方ない」と思って文句は言わない。
でもこれでいいのかと、島外の医療を知る看護師(応援ナース等)は悩み訴えようのない不満を感じている。
じゃあ、我々離島を守る看護師はどうすればいいのか?
病院幹部に文句ばっか言って、常勤医を呼んでこいとだけわめけばいいのか?
それは違う。。
他にもやることはある。。
それは、
『もっと勉強して知識や技術を向上させる』こと。
救急認定看護師や救急医がRRTで急変の兆候を察知するように、病棟ナースがvital signやPhysical assessmentで「なんか変」を言語化し、医師に伝えること。
検査結果を見て、画像検査を比較し、看護ケアに活かすこと。
傷を見て、デブリードマンが必要な状態や軟膏の変更を提案できること。
ただ言われたことをやるだけでは、患者を守れない。
離島ならこの言葉の意味がよくわかる。
我々専門職は更新制度がない永久ライセンスとはいえ、日々自己研鑽を積まなければならない使命を与えられているはずだ。
離島にはAPNはいない。
だからこそ、この1年半NPが介入し、これらに関してOJT中心に指導介入を行ってきた【コロナ禍でなければ、もっと勉強会をしたかった】。
医師(大半は研修医で1~3ヶ月で交代)との人間関係も取りづらい状況なため、上記のような病態生理、看護ケア、なんか変に関する相談が多く来るようになった。
病態把握を活かした看護展開は、まだまだ難しい。
だが、確実に「なんか変」に対して、視点の変え方やassessment方法は成長したと感じている(と思いたい)。
勉強したいと意欲が出てきた看護師もいる。
なにかに特化した看護師ならなんでもいい。
現状課題から言えば、フットケア指導士、認定看護師、心電図検定、、
その特化した分野から、周囲に知識を広めてほしい。
そして、風向きが良いように変わってほしい。
結局のところ、ごく一部を除き、島外の人間が離島に『永住』しようとなるのは無理。不可能。
だからこそ、離島医療の発展のために、徳洲会グループは都会で医者を集め離島僻地に派遣する制度で成功した。
でもその応援派遣システムもこうして限界・歪みがある。
結局のところ、ずっといる常勤の看護師に委ねなければならない現状なのだ。
だからこそ、だからこそ、離島の看護師は都会の看護師よりも使命感を高めていってほしい。名札に資格バッジはないけども、都会の看護師よりもデキるナースは多いと思う。
もっともっと上を目指して、患者を守ってほしい。
そして少しでも、1人でも、APNの存在意義なんかが伝わっていればいいな・・・
1年半ありがとうございました。
NP教育では、離島僻地、離島僻地と何度も簡単に言いますが、本当の離島を経験しないとわからない課題がここにはあります。
都会で悩んでいるNP、卒後どうしようか迷っているNP学生、成功して満足しているNPも、一度来てください。
必ず新しい発見があり、自分のNPレベルが上がります。
離島を経験した人とそうでない人の価値観は変わると思います。
一度来たらとても去りにくいですが、ぜひ一緒に離島医療の底上げ、そして日本の医療の底上げに貢献できるように切磋琢磨していきましょう。